2014.10.23 01. SHOP/WORK
ヨーロッパに3週間ほど出張に行きました。
ヒースロー空港に降り降り立った頃は、街のあちこちに花が咲き乱れる暖かな気温だったのに、帰国が近づくに連れて朝晩の寒さが強くなるといった感じ。今年は特に雨が少なく、ストリートに活けられた花々とペイントの壁やレンガがよりいっそう街を色鮮やかに見せてくれます。
この国の人々は大らかで、時間の流れがゆったりと進んでいるように感じるのは私だけでしょうか?
わが社のボスから長きに渡ってイギリスについてを教えてもらいましたが、ロンドンはボスの美的感覚を刺激し、育て、心の底まで魅了したそう。私も初めてこの国に足を踏み入れた時、ボスが感じたのと同じ「何て美しい国だろう」と心から思いました。
「ロンドン・マジック」
イギリスには沢山の神様がいて、ときどき海外から来た人間に魔法を掛けるんだよ。そんな話を誰かがしていたような、していないような。。
今回の拠点となったチェルシースタジアムのバス停から、早朝のバスに乗るのが毎日の日課になりました。遠くまで出掛けるので電車も使いますが、チェルシーを通るバスに遭遇すれば帰りもしっかりバスに乗ります。ロンドンのバス事情は最高に便利で、メトロもよいですがバスが私のお気に入りです。
バスの2階のフロントガラスは全面が見下ろせるような大きなもので、その最前列のシートは言うまでもなく限定スペシャルシート。イギリスの神様はほんの時々その幸運を私に与えてくれ、私は小学生みたいにフロントガラスにかじり付きます。
階下から見渡せる景色は、まるで自分が巨人になってしまったかのような不思議な世界。このほんの短い時間は私から仕事を忘れさせ、ついでに重ねてしまった年までも忘れ去らせました。
ある朝のこと。いつものように乗ったバスの運転手さんは女性で、バス内は乗客でぎっしり埋め尽くされています。運転手の女性は、重たそうなアクセルを目いっぱい踏み込んでバスは上り坂に。すると、どこからか話し声が聞こえてきます。声のする方は運転席。でも、彼女がマイク越しに誰かと話している様子はありません。
「いい子だから、しっかり加速してちょうだいね。」どうやら会話の相手はバスのよう。「そうよ、そのままスピードを上げて。」バスは坂道を順調に加速をつけていきます。中腹から登りきる手前で、真剣だった彼女の表情が急に笑顔になりました。
「オーケー、いい感じ。今日もいい仕事してるわ!」
私は今回の出張中に、そんな素敵な人々に遭遇しました。ほんの小さな日常を心から楽しんでいる。人生の達人たちはあちこちにいて、私の目を魅了し、楽しませてくれたのです。
また綴らせていただきますので、どうぞおつき合いくださいませ。
次回に続く
白金店 Chie